じぃちゃん『ブラックバス』だよ。
祖父はたまに遊びに来ると我々兄弟を釣りに連れて行った。近くの野池に。朝早くからドバみみずを捕まえに土を掘り、エサにした。
祖父は特に何を狙っていたわけでもなく孫たちに魚釣りをさせたかったのだろう。フナでも鯉でも。竹を切り、簡単な竿を作り、糸、板オモリ、ヨリ戻し、玉ウキ、大きめの針・・今思えば適当な仕掛けだ。しかし手際よく仕掛を作る姿を今でも良く覚えている。
そんなに簡単に釣れるわけもなく私たち兄弟はすぐに飽きた。(無理もない私は当時5歳。兄は8歳)
日も暮れ始め、そろそろ納竿(納竹?)と思った矢先、玉ウキが消しこみ、上がって来たのは始めて見る『ブラックバス』。当時誰もその魚の名前が分からず全く魚や釣りに興味が無かった私はその魚が何なのか調べもせずにいた。
後ほど祖父がその魚がなんだったのか調べ、教えてくれた。どうやって調べたか分からないが、
『ブラックマス』だよ。と・・
誇らしげに私たちに向かって言う祖父の顔が忘れられない。
その魚に一番興味を持たなかった私がこうした仕事をしていることを知らせることが出来たら何て思うのかな・・

